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福岡の思い出はあのコマーシャルだった。 |
![]() そのCMとは、あっぱ〜れあっぱれ、という曲にのり、福岡タワーやビルの屋上で日の丸扇子を振り回して踊る殿様が出るお菓子のCMだ。 「あんた、3年半もいた福岡の思い出がそれかい・・・」 「あんなCMを思い出す、俺自身も悲しいよ」 げに恐ろしきかな、CM。 そうか。テレビを彩るローカルといえばCMの存在も忘れちゃいけないよね。てなわけで、ローカル名作CMを思い出してみた。古典的なものでは、「これば持って謝りにいきんしゃい」と母親に叱られるニワカせんべい。認知度が高いのは「ピシャッと差がついとぉ」でおなじみ、おばあちゃんと外国人のおじさんとの名コンビ、時報もかねた明太子のCM。 しかし、ダントツでシュールだったのは、「まだまだイカナイ、天国社」というフレーズを70代80代の元気印のおばあちゃんにしゃべらせた葬儀社のCMだろう。これは、制作段階で相当もめた、とみた。しかし、このインパクトはすごいものがあったね〜。福岡ってすごい土地だね、と他の地方の人をビビらせるのは充分な気迫があった。 トコの思い出は子供の時に見たチロリアンのCMだ。当時、チロルの高原でフォークダンスをする金髪白人男女がなんとまぶしかっただろう。最後にチローリアーン、とにこやかにコール。アタイも大人になったら外国人になって高原で踊りたい、こんな不条理な憧れを抱いたものだ。そんなある日、母親と映画に行った。字幕の漢字がほとんど読めずにうんざりしていた時、スクリーンに高原の風景が映し出された。 ああ、私の出番だ。気がつけばトコは椅子に立ち上がって叫んでいた。「チローリアーン!」 その後、母親と映画に行くことは二度となかった。 |
